霜月が目の前にやって来ました。本格的な紅葉の季節を迎えようとしています。過日「おこぶのたいたん」を作りました。漢字にすれば「御昆布の炊いたん」で「炊いたん」は炊いた物です。概ね寿司屋の寿司飯は洗い米の上に長いままの昆布を載せて炊きます。うちとこは礼文島船泊の昆布を使うてます。炊き上った後の昆布の殆どは廃棄になるのですが、一部はとっておいて巻寿しやちらし寿しに入れる椎茸の甘煮を炊く時に再登場いたします。その昆布は椎茸の風味は勿論、ザラメや醤油が滲みています。なので賄いに使こうたり時々は貰うて帰ります。包丁で食べやすい大きさの正方形に切り、水煮の筍やおじゃこ、実山椒などを入れて醤油や味醂で味を調えます。
仕込みの段階で役目を終え廃棄されるものを、上手く調理するのは父の16歳年上の長姉静枝おばあちゃんの得意分野でした。写真の柿の蓋物もよく使っていて、おこぶのたいたんや金山寺味噌を入れて食卓に載せていました。この蓋物は多分100数年は経ち今も現役で重宝しています。今年の12月には99歳で亡くなった静枝おばあちゃんの23回忌が巡ってきます。身内で集まり法要の後は皆が大好きだったおばあちゃんの想い出などを話しながら偲びたいと思っています。