6月のこの頁は、やはり薪能で始まります。1日、2日と開催されるそれも、本年は節目の第70回を迎えたということでした。元号も新たな本年は「新しき御代を寿ぐ」というテーマで、珍しい演目の「平安」も拝見しました。平安神宮の朱塗りの柱と緑の瓦の社殿を模したつくりものが運び出されて、本物をバックに舞台に置かれた時は、虚と実の狭間の面白さに、はまりました。
私が拝見した1日目は「草紙洗小町」お狂言の「福部の神」を挟んで「石橋」。勇壮な舞の衣装の金箔が、薪のゆらめく明りに映えて一層非日常の世界へ運んでくれました。
終演後は二条通を西へ。鴨川迄出た所で、「アッ?」と思い出しました。昨年の薪能の帰り、二条大橋の辺りでほたるを見たことを。
今年は見られるかなと思いながら、みそそぎ川の上迄来ますと欄干の上から、木々の間からほたるの飛ぶのを見ることが出来ました。今年も飛んでいる事に、嬉しく思ったと同時に、多分、私の知らない所で、この環境を守って下さっている方々が、おられる事と想像しました。
「水暗き沢辺の蛍の影よりも光る君とぞ契らん。わらはは蓬生のもとあらざりし身となりて、葉末の露と消えもせば・・・枕に立てる破車、打乗せ隠れ行かうよ・・・」。
能「葵上」の中の沢辺の蛍という言葉が出てくる部分の謡いが、自然に出てきました。
6月の最初のお茶の稽古日。掛け花入れには紫蘭とホタルブクロ。お菓子は「初蛍」。
透明の葛から黄餡が透けて、戴くのが惜しい美しさでした。
愈々夏越しの祓いの季節にもなりました。