なかなか御縁がないなあと半ば諦めていた京都迎賓館の見学が実現しました。見学の枠が拡がった事と、インターネットでも申込みが出来ると知り合いから聞いたのです。以前、一般公開時に何度か葉書で申し込んだことはあるのですが、籤運は無いようでした。そうこうしているうちに完成してから12年が過ぎていました。今回パソコンから私一人の申込みでしたが抽選の結果、OKのメールが届いた時の嬉しかった事。OKのメールと一緒に届いた注意事項が書かれた数枚のA4用紙に、何度も目を通してとうとうその日がやって来て、真夏の午後の京都特有の暑さをものともせずに行ってまいりました。

平屋の建物がこんなに美しいのかと再認識しながら正面玄関から聚楽の間に置かれている飾り台と花籠に見とれ、夕映えの間では二幅の綴れ織りの色糸の数に驚き、藤の間では截金細工の舞台扉に感動し、いよいよ桐の間です。私が一番見たかったものが、そこに在るのです。畳です。詳しく申せば和室桐の間の中継ぎの畳なのです。
時は遡り、京都迎賓館が完成したばかりの頃の事です。作品を出品されておられたとか、特別見学を許された関係者の方がお知り合いにもいらっしゃいました。各種団体からとしての見学もあったと思います。うちの会長は二度も見学の機会に恵まれておりました。

その頃の或る日のお茶の稽古の時です。数人いた中にも既に迎賓館に行かれた方がおられて和室の話題に自然なっていきました。材料のいぐさの良い部分だけで贅沢に製作された迎賓館の中継ぎの畳というものの存在を、その時私は初めて知り得たのです。
そしてその席で、「中央1カ所で継いだ中継ぎの畳、それも素晴らしいものですが、2カ所で継いだ畳が存在していますよ。」とある方が教えて下さったのも、その時でした。玉座がそれにあたるのかどうかは定かではありませんが、世の中は、知らないことで満ちていると思った記憶は鮮明です。機会があれば迎賓館の畳はいつの日か見たいなあと思い始めて漸く実現したのでした。
期待を裏切ることなく、中継ぎの畳は六列に敷かれて中央部分が、それなのだと教えられなければわからない程、本当に美しく継がれて其処にありました。

ついこの間の事のように思えるのに、あのお茶の稽古日から12年も経ってしまっているのかと思いながら、西に傾き始めた太陽を日傘で遮りながら御所の砂利道を踏みしめながら帰路についたのでした。

DSCN4235

広告