三月になり額も春のものになりました。
故山下宗匠の筆になるものです。宗匠は、私のお茶の師匠であり数年後に長男も稽古人の末席にくわえていただいたのでした。

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稽古始め、利休忌、朝茶、稽古納めと月々の稽古に加えて「お茶でもてなす」という事を実際に示されてお教えいただいてまいりました。

ある年の春に拙宅に宗匠と奥様をお招きするという一大決心をいたしました。我々稽古人に、季節が巡る度に教えていただいて来た「もてなし」が、こんなにも大変な事だったのだと知って驚愕してしまいました。
和室に炉を切っていた事、家族、親しい友人や外国からの知人等と、お茶を点てて時折楽しんでいた事、隣に簡単な水屋も拵えておいたことは唯一の救いでした。

長男は勿論、会長も慣れぬ袴を着けて、向かえつけからお運びと頑張ってくれました。次男夫婦も料理を担当してくれました。道具らしい道具のない我が家ですが、寿司屋らしいものが一つ在りました。
吉野つるべ鮨「弥助」のすし桶の水指しです。お帰りの際に、私共の眼の前で描かれたのがこの絵と賛です。これを掛ける度に、その日の感動が心によみがえってまいります。

「都路に遠い吉野の花見かな」

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